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相続財産調査について

相続財産調査について

相続が開始すると、亡くなった方の財産に属した一切の権利義務を引き継ぐことになります。

「借金も財産のうち」と言いますが、相続すると当然借金も引き継ぐことになります。

調べてみたら借金しかなかったなどと言う場合には、相続放棄などを考えなくてはなりません。どこにどんな財産があるのか、その価値はどのくらいなのかを調べることになります。

 

相続財産の調査をする目的には2つの理由があります。

①財産を分けるために、どんな財産がいくらあるのか調べるため。

②相続税が掛かるのか?掛かるとしたら、どれくらい支払うのかを調べるため。

 

『主な相続財産』

・不動産(土地、建物、借地権など)

・預貯金などの金融資産(株式、公社債、投資信託など)

・動産(自動車、貴金属、書画や骨董品など)

・その他の財産(電話加入権、ゴルフ会員権、他者への貸付金、著作権、特許権など)

・借金など

※受取人が指定されている生命保険の死亡保険金や、未支給年金、遺族年金などは相続財産には含まれません。

「不動産を調べるには」

相続財産の中でも調べるのが厄介なものの一つが不動産です。

現在住んでいるご自宅のみということであれば、登記簿謄本から名義や持ち分を調べ、評価を確認することは比較的簡単におこなうことが出来ます。

たまに(というか結構多い)のが、どこか地方に故人が昔購入した別荘地がある、とか、親の代から引き継いだ山林があるとか。

このような不動産を調べるには、まずは自宅にあるいわゆる権利証(「登記識別情報」や「登記済権利證書」)を探します。

そのほか、不動産の売買契約書も調べる手がかりになります。

 

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その他手がかりとなるものは、固定資産税課税明細書です。自治体ごと、毎年6月頃に郵送で納税通知書と一緒に届いているものです。

これが見つからない場合、または非課税の不動産(私道など)で納税通知書に記載がない不動産については、不動産の所在地の各市町村で調べることができます。「名寄帳(なよせちょう)」というものを取寄せるのが良いでしょう。

東京23区内にある不動産の場合は管轄の都税事務所が管理しているので、新宿区にある不動産は新宿都税事務所で取ります。まずは、都税事務所で「名寄帳」の写しの発行を依頼しましょう。

※東京23区の方は「都税証明郵送受付センター」へ申請すればどこの区であっても郵送で取寄せることが出来ます。

 

相続人が名寄帳の写しを申請する際の必要書類

・申請書

・窓口に行く相続人の本人確認書類(免許証、健康保険証など)

・所有者が亡くなったことを確認できる書類(除籍謄本)

・請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本等が必要となります。

・証明書発行手数料(都内は1通300円)

 

不動産は地番や家屋番号が正確に分からないと登記簿謄本を取ることが出来ません。

この地番や家屋番号は、私たちが通常、個人情報欄に書く住所とは若干違います。

不動産を管轄する法務局へ電話を掛けると土地の「地番」と、区分所有のマンションの場合には「家屋番号」を教えて貰うことが出来ます。

 

<注意!>「名寄帳」のみでは相続登記申請の際の添付書類としては使用できません。不動産の所在について調べるだけのものです。不動産の名義変更手続きの際には「固定資産評価証明書」を取得する必要があります。固定資産評価証明書は23区内にある不動産であれば、都内のどこの都税事務所でも取得することができます。申請する時の必要書類は名寄帳と一緒です。固定資産評価証明書の最新のものは毎年4月1日から取ることができます。

ポイント

法律が改正され、令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。

相続により不動産を取得した方は3年以内に名義書換をする必要があります。

正当な理由がなく手続きしない場合には罰則規定があるので注意が必要です。

相続が重なるほど、相続人も増えてきます。いざ手続きをしようと思った時、連絡のつかない相続人がいたりすると、相続手続きが大変困難になるため、必ず名義変更はしておきましょう。

 

「預貯金を調べるには」

銀行やゆうちょ銀行の口座は通帳から探っていくことになります。まずは通帳を探しましょう。

通帳は見つからなくても、何か取引していた形跡があるとき、例えば「定期預金の満期日のお知らせ」などの郵便物が出てきた場合には、それぞれ金融機関に口座があるかどうかの照会をしていきます。

取引していた支店へ電話を掛けて今後の手続きを相談してください。

 

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ゆうちょ銀行の場合には、どこの支店の窓口でも対応して貰えます。

先に「ゆうちょ相続コールセンター」へ電話をして手続き方法を確認してください。

 

0120-312-279 平日9:00~17:00

 

相続開始日となる『亡くなった日の残高』が遺産相続の基準になります。

細かく言うと利息も対象となるので、相続開始日の残高証明書を各金融機関に発行して貰うと良いでしょう。
残高証明書を請求するには、亡くなった方の戸籍謄本や相続人の戸籍と印鑑証明書、各金融機関所定の請求用紙、残高証明書発行手数料が必要となります。

その他、必要書類は金融機関により異なるので事前の確認が必要です。

残高証明書はその場で発行してくれるケースと、相続センターなどの別の部署での対応で後日郵送のケースがあり、郵送の場合は請求してから届くまでに1~2週間掛かるところが多いです。

※最近では感染症対策で郵送を推奨している金融機関が多く、窓口に行くよりも時間が掛かっています。

 

比較的大きな銀行は窓口で直接対応ではなく相続専用の窓口を設けていて、支店窓口に書類を持って行っても、そこから転送され後日郵送で手元に届くということが多いです。

あまり支店数のない信用組合などは、書類さえ整っていればその場で発行してくれるところもあります。

手続きを第三者に委任する場合には委任状が必要になります。

 

貸金庫がある場合

貸金庫の鍵や専用カードが出てきた場合、貸金庫の中身も確認しなければなりません。

貸金庫の中に貴重品が入っていると、それも遺産分割の対象となるので、遺産分割の話し合いの際に含めなければいけない財産となるからです。

貸金庫の取扱いも銀行により異なります。

解約の際には、相続人全員の立会い、又は相続人のうち一人が代表で行います。

※相続人代表者が1人で貸金庫を開ける場合は、他の相続人の同意が必要です。

預貯金の解約同様に、被相続人の戸籍や、相続人の戸籍、印鑑証明書等々の準備と、

金融機関備付の貸金庫解約用の届出書と受領書など

その他、貸金庫の手数料の清算をすることになります。

 

金融機関の調査は、相続手続きの中でも時間が掛かるうえ、とても細かく大変な作業です。書類に不備があると何度も往復することになります。

また、金融機関毎に対応が異なるので、一つ一つ確認しながらやらなくてはなりません。

他にもやらなければならないことや考えなくてはならないことが沢山ある相続手続きで、ここで躓き、心が折れてしまう方もいらっしゃいます。

 

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貴重な時間を煩わしい手続きに費やさず、専門家に依頼し他のことに専念して頂くことが精神的にも楽になれる近道です。是非、ご相談ください。

 

「証券会社の口座を調べるには」

金融機関でもやっかいなのは証券会社です。株や投資信託を証券会社で保有していた場合、証券会社には通帳がありません。

定期的に郵送されてくる『特定口座の年間取引報告書』や『配当金のお知らせ』、株を発行している会社から『株主優待』の通知が郵送されて来ます。

そのような郵送物を頼りに調べていくことになります。

証券会社と支店が分かったら取引支店に直接電話を掛けて手続き方法を聞いてください。

証券会社は分かったのだけど支店が分からないという場合には口座の照会を行い、どこの支店にあるのかを確認します。

証券会社の相続手続きでも銀行と同様、被相続人の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、印鑑証明書等々の証明書類と、証券会社所定の相続手続きの届出用紙が必要です。

各、証券会社へお問合せください。

 

「株主優待が送られてきて株は持っているようだけど、どこの証券会社に預けているのか分からない・・・」

という場合があります。

その場合、証券保管振替機構(通称:ほふり)というところへ「登録済加入者情報の開示請求」をすることが出来ます。

誰が開示請求をするかによって揃える書類も異なるため、これも事前の問い合わせが必要です。

0570-005-752 平日9:00~17:00

開示費用は1件につき6,050円(消費税込)が必要となり、期間は2~3週間掛かります。

過去の住所でも調べたいという場合には1住所あたり1,100円追加となります。

手続きに必要な書類に戸籍がありますが、法定相続情報一覧図を使用すると1,100円割引となります。

※仮に調査して証券会社に預かりが無かった場合にも所定の費用は支払う必要があります。

 

生命保険の死亡保険金と死亡退職金は相続財産?

遺産分割の時にどう扱って良いのか分かりにくいのが、生命保険の死亡保険金と死亡退職金です。

生命保険の死亡保険金

・受取人に特定の人を指定してある場合。

保険金は受取人と指定された人が保険契約に基づいて固有の権利として受け取るものなので、相続財産には含まれまず、遺産分割の対象にはなりません。

・受取人を「相続人」としている場合

単に「相続人」として特定の人を指定していない場合は、各相続人が固有の保険金請求権を法定相続分に応じて取得することになり、遺産分割の対象にはならないとされています。(最高裁判所平成6年7月18日判決)

ただし、生命保険約款で、相続人間で平等な割合で分けるという規定がある場合には、それに従うことになります。

・受取人を「被相続人」自身としている場合

保険金は、相続人が受取人としての地位を相続により承継するので、相続財産となるという説と、相続人の固有の財産となるという相続財産性を否定する説に分かれています。

・受取人を指定していない場合

誰が保険金を受け取るのかは、保険会社の定めたルールに従うことになり、通常、「法定相続人」とされる旨の規定があり、その場合は受取人を「相続人」と指定してある場合と同様に扱うこととなります。

※現在、殆どの保険会社では、後日のトラブルを避け手続きを煩雑にしないために、受取人は必ず指定することになっていて、受取人を「相続人」に指定、または誰も指定しないということは出来ないようです。

 

<ポイント>令和3年7月1日から「生命保険契約照会制度」が開始されました。亡くなった方がどこの生命保険会社と契約していたか分からないという場合に利用できる制度です。

死亡退職金

現役で会社勤めをしていた方が亡くなった場合、勤務先の就業規則や労働協約により死亡退職金や功労金が支払われる場合があります。

 

死亡退職金は、生命保険の保険金と同様、原則、相続財産には含まれないとされています。死亡退職金は、会社の規則で受取人が決められていて、遺族の生活が困らないようにという保障的な意味合いであると解され、受取人である遺族の固有の財産という考え方が一般的です。

●相続財産には含まれないため、遺産分割の対象にはなりません。

●相続放棄をしていても、死亡退職金を受け取ることはできます。

・内縁の妻に死亡退職金が支払われる?

死亡退職金の支給を定めた規定に、「死亡退職金を受ける者の第一順位は内縁の配偶者を含む配偶者であって、配偶者がいる場合、子は全く支給をうけないこと」など、受け取る人の範囲と順序が定められている場合、内縁の妻に死亡退職金を受け取る権利があるとされています。

ただし、戸籍上の配偶者がいて、その妻とは別居していて、他の女性と暮らしているような状況の場合、裁判では個別の事情により判断が分かれています。

 

ちなみに、国家公務員退職手当法という法律では、遺族の範囲に「届け出をしないが、職員の死亡時事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む」と規定されています。

また、労働基準法施行規則第42条にも「遺族補償を受けるべき者は、労働者の配偶者(婚姻の届出をしなくとも事実上婚姻と同様の関係にある者を含む。)」となっています。この規則は、法律上の妻がいない場合に、内縁の妻が受けられると解釈されています。

《借金があるかを調べるには》

銀行からの借り入れは通帳から引き落としがされているので、調べるのは難しくないと思います。

クレジットカード会社などは、一月でも支払が遅れると督促状が届くか電話が掛かってきます。その他にも連絡が入る可能性があるので、携帯電話の解約はすぐには行わない方が良いでしょう。

なお、個人間の貸し借りについては、借用書を残してなければ調べようがありません。亡くなったことを知った債権者が「実は生前にお金を貸していて・・・」と申し出てくる場合もあるかもしれません。全てが善意とは限らないので、まずは借用書の有無を確認しましょう。

事業をやっていた方は、顧問の税理士さんへ確認してみるのが良いでしょう。

金融機関等からの借入金の調査については次のような機関で調べることもできます。

JICC(日本信用情報機構)・・・消費者金融でのローンやクレジットの取引に関する情報

CIC・・・クレジットカード会社等での契約に関する情報

KSC(全国銀行個人信用情報センター)・・・全国の加盟銀行の借り入れに関する情報

※ここでは調べられない借入金もあります。

借金の相続について

借金も相続財産である以上、相続人に引き継がれることになります。金銭債務のように分けることが出来るもの(可分債務)について、相続が開始すると当時に、法定相続分に応じて各相続人に承継されることになります。

借入金は遺産分割の対象にはならないので、相続人間で借入金の負担を法定相続分とは異なる割合で決めたとしても、債権者の側からは法定相続分通りにそれぞれの相続人に請求することができます。

保証人の地位の相続

●被相続人が誰かの借金の連帯保証人となっていた場合、この連帯保証人の地位は相続によって当然に相続人に承継されます。この連帯債務も法定相続分に従って相続し、相続分に応じて債権者に対して保証債務の責任を負うことになります。債権者から請求を受けた場合には代わりに支払わなくてはなりません。

 

●継続的な取引関係から生じる不特定の債務で、一定の範囲内で増減するものをまとめて保障する「根保証契約」の場合。

根保証契約の場合、借金が一定の範囲内で増減します。債務の元本を確定する「元本確定期日」の定めがない場合、主たる債務者または保証人が死亡すると、それ以降に発生する債務は保障の範囲外となります。

被相続人が亡くなった日に債務の元本が確定することになり、相続人は被相続人の亡くなった日に確定した元本の保証債務を、法定相続分に応じて分割して引き継ぐことになります。

 

●誰かの身元保証人となっていた場合の地位は相続の対象にはなりません。なぜなら、身元保証人とは、その人に専属するもの(その人だから身元保証人になったという個人の信用に基づくもの)なので、この地位は引き継がれません。ただし、被相続人が亡くなった時、身元保証をされた人が既に事故等を起こしていて損害を与えていた場合には、その損害は補償しなければなりません。その損害の賠償は相続人が引き継ぐことになります。

 

●被相続人が、他人のアパートを借りる際の保証人となっていた場合、保証人の地位は相続人に承継されます。当初保証人となったが、賃貸借契約更新時に保証人として署名、押印していなかったとしても、反対の趣旨を伺わせるような特段の事情がなければ、更新後の賃貸借から生じる債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当とされ、保障の責めを免れないとされています。(最高裁判決平成9年11月13日)

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