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遺産分割協議

遺産分割協議

財産の調査が終わると相続人が集まって遺産をどう分けるのか話し合いをすることになります。

分割の協議には原則期限はありません。

 

※ただし相続税申告期限に分割の話し合いが終わっていないとしても、未分割(分割協議が成立していない状態)で申告しなくてはなりません。

一旦、法定相続分で取得したものとみなして納税する必要があるなどのデメリットがあるので注意が必要です。

 

遺産分割協議はその名のとおり「話し合い」によるものなので、合意さえあれば必ず法定相続分にこだわる必要はありません。

例えば全財産を相続人のうち一人が全部するという内容でも構いません。

よくあるのは父親が亡くなった際に、今回の相続では母親が全部受け取る内容で合意する、というケースです。

話し合いには相続人全員が参加し、全員の意見が一致しないとまとまらないため、誰か一人でも反対するといつまで経っても成立しません。

全員参加とは言っても遠方に住んでいる場合などで一堂に会するのが困難な場合には、連絡を取り合いながら、書面を持ち回りで確認し、署名押印することもできます。

 

この遺産分割協議は相続人となる家族のほか、相続人以外で、遺言書で包括遺贈を受けた人(「遺産の10分の1を遺贈する」と一定割合を与えられた受遺者)は協議に参加する必要があります。

※遺言書があれば原則、遺産分割協議は不要です。

遺言書があった場合でも、相続人全員が「遺言書は使わず遺産分割協議書しましょう」という合意をすれば、遺産分割協議に変更することが可能です。

その場合、亡くなった方が残した遺言書に包括遺贈の受遺者がいるのであれば分割協議に参加する必要があります。

 

また、遺産分割は相続開始の時に遡って効力が発生するため、相続人が受け取った遺産は、相続が開始した時に亡くなった方から引き継いだということになります。

 

■遺産分割の代表的な方法

1.現物分割

2.代償分割

3.換価分割

1.現物分割

遺産を現物そのままで分ける方法。

「自宅は長男に、●●銀行の貯金は次男に」
最も基本的で、比較的よく行われている方法です。

2.代償分割

遺産が不動産だけで分割が困難という場合などには、その不動産を代表で取得した者が他の相続人に対して代わりに金銭等を支払うという方法です。

3.換価分割

遺産を売却して現金に換え、その売却代金を分けるという方法。

※不動産を売却した場合には譲渡となり、所得税が課税される場合があるので検討が必要です。

 

不動産の分け方でたまに見るのが「相続人全員の共有」にしておくと言う方法です。

一つの不動産に所有者が複数いるケースです。

遺産分割が纏まらず、とりあえず持ち分毎に名義書き換えしてしまおうと相続人の共有にしているケースがあります。

将来共有者の誰かが亡くなると、亡くなった方のご家族がその共有分を引き継ぐことになるので、所有者の数がどんどん増えていってしまいます。

いざ売却したいという時には共有者全員の同意が必要になります。

共有している人がどこにいるのか分からず、売却が困難になることも多く、よっぽどの事情がなければ避けた方がよい手段です。

 

※分割の話し合いに期限はないとは言っても、注意が必要なのは相続税の申告期限です。

話し合いが纏まらず期限内に申告が出来なかった場合に、相続税が軽減できる特例が受けられないなど、様々なデメリットがあります。

また、正当な理由がないのに申告期限までに申告しなかった場合には、無申告加算税などのペナルティが課されてしまいます。

相続税の主なペナルティ

延滞税 定められた期限までに納付しなかったとき。
過少申告加算税 誤って相続税を少なく申告し、自主的に修正申告をしなかったとき。
無申告加算税 申告書の提出を忘れてしまったなど、正当な理由なく期限内に申告しなかったとき。
重加算税 故意に財産を隠したり、書類を偽装した場合

遺産分割のやり直しは出来るか?

遺産分割協議は法律行為なので、簡単にやり直しを認めてしまうことは、法律の安定性を害することになってしまうため、そうそうは認められていません。

 

ただし、遺産分割に法律上の無効の原因がある場合には、元々分割は成立しなかったものと扱われます。無効になる場合には、遺産分割協議に認知症などで判断が出来ない相続人が後見人を立てることなく参加していた場合や、意思表示の重要な部分に錯誤があった場合などです。

 

また、法律上の取り消し原因がある場合には、一度有効に成立した分割を取り消し、一からやり直すことが出来ます。詐欺や強迫によって成立した遺産分割協議は取り消しすることが出来ます。

この場合には、当初の遺産分割による財産の取得について、財産の帰属そのものに問題があるので、これについてのやり直しは、当初の遺産分割の範ちゅうとして考えるべきであるとされています。

また、相続人全員の合意があれば、一度成立した遺産分割を解除することが出来るとされています。

判例では「共同相続人の全員が既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、 改めて遺産分割協議をなしうることは、 法律上、 当然には妨げられるものではない」として、解除が出来ることを認めています。

解除とは、遺産分割を将来に向かって取消すことです。一度成立した遺産分割をやり直して再配分すること、と考えられています。

やり直すとどうなるか?

共同相続人間での遺産分割で取得したものを改めて贈与したり交換したとみなされ、贈与税や譲渡所得税が課される場合があります。

簡単にやり直しは出来ないと考えていた方が無難です。

遺産分割協議書の作成

遺産分割の話し合いが無事にまとまったら、その内容を書面に残すための「遺産分割協議書」を作ります。

遺産分割協議書を作る目的

・相続人の間での合意を証明するため

・続きをスムーズにするため

・将来の揉め事を予防するため

 

相続人全員が話し合いのうえ協議が整ったこと、相続財産の詳細と誰がどの財産を相続するのかなどを記載し、相続人全員の署名と実印を押します。

不動産の名義書換など、記名押印でも認められる場合もありますが、銀行の解約手続に使用する場合には署名捺印を求められます。

 

 

この遺産分割協議書をもとに、不動産や預貯金や株式などの名義変更の手続きをしていくことになります。

遺産分割協議書には特定の書式はありません。

 

決まった書式はないとは言え、不動産の記載方法など正確に記入しないと名義変更の登記手続きがスムーズに行えないなど、いくつかのポイントがあります。

せっかく作ったのに手続に使えないのは残念です。

トラブルを防ぐためにも遺産分割協議書の作成は専門家にお任せください。

 

・相続開始後に認知された子がいる場合の遺産分割

父が亡くなり、母と子で遺産分割協議を行い、遺産の分割が終了しました。後日、父の子だと主張する人が現れ、裁判の結果、父の子であることを認める旨の判決が出てしまいました。

この場合、遺産分割をやり直さなくてはならないのでしょうか。

すでに他の共同相続人の間で遺産分割が終了している場合、認知された子は価額のみによる支払の請求ができることとなっています。この価額を計算する場合は認知された子が請求した時の時価となります。(最高裁判所平成28年2月26日判決)

・相続回復請求権とは

本当の相続人ではないもの(表見相続人)によって相続権を侵害されている場合に、本当の相続人が侵害の排除をすることができる権利です。

<表見相続人とは>

・相続欠格者自由に該当する相続人

・被相続人から廃除された相続人

・虚偽の出生届で子となった者

・虚偽の認知届で子となった者

・無効な養子縁組で子となった者

<請求者>

・本当の相続人(真正な相続人)又はその法定代理人です。

・相続分の譲受人も、相続人の地位を引き継ぐので行使できます。

<請求期間>

・相続を侵害された事実を知った時から5年。

・相続侵害の事実を知らなかったとしても、相続開始の時から20年経過したとき

・相続を侵害された事実を知った時とは

相続開始の事実を知るだけではなく、自分が真正相続人であることを知り、しかも自分が相続から除外されていることを知ることです。

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