相続財産調査
相続が開始すると、亡くなった方の財産や負債などの権利義務を相続人が全て引き継ぐことになります。
どこにどんな財産を持っていたのか、また、その価値はどのくらいなのかを調査することになります。
相続財産の調査をする目的には2つの理由があります。
①遺産分割協議をするため、どんな財産がいくらあるのか調べるため
②相続税の申告が必要な場合の資料収集のため
<主な相続財産>
➢ 不動産(土地、建物、借地権など)
➢ 預貯金などの金融資産(株式、公社債、投資信託、金、仮想通貨など)
➢ 動産(自動車、貴金属、書画や骨董品など)
➢ その他の財産(ゴルフ会員権、他者への貸付金、著作権、特許権など)
➢ 住宅ローンなどの借入金
『不動産の調査』
故人が不動産をお持ちの場合、相続人への名義書換が必要になります。その際に必要となるのが
● 登記簿謄本
● 固定資産評価証明書、名寄帳
● 公図
などがあります。

登記簿謄本は法務局で取り寄せます。固定資産評価額の証明については、自治体ごとに、毎年6月頃に郵送で納税通知書と一緒に届くので、それが使用できますが、載ってこない私道などがある場合には、各自治体で『名寄帳』を取り寄せる必要があります。
※23区の場合は管轄の都税事務所で取寄せが可能です。
共有の私道などは見落としがちなため、法務局で公図を取り寄せ確認してみることをお勧めします。
[相続登記が義務化されました]
法律が改正され、令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。
相続により不動産を取得した方は3年以内に名義書換をする必要があります。
正当な理由がなく手続きしない場合には罰則規定があるので注意が必要です。
相続が重なるほど、相続人も増えてきます。いざ手続きをしようと思った時、連絡のつかない相続人がいると、相続手続きが困難になるため、早めに名義変更はしておきましょう。
『預貯金を調べるには』
金融機関の口座の有無は、まずは通帳やキャッシュカードから調査します。
通帳やキャッシュカードは見つからなくても、何か取引していた形跡があるとき、例えば「定期預金の満期日のお知らせ」などの郵便物が出てきた場合には、それぞれ金融機関に口座があるかどうかの照会をしていくことになります。

相続では、『亡くなった日の残高』が遺産分割の基準となります。必要となる残高証明書などの書類を各金融機関へ申請します。
貸金庫がある場合
貸金庫の鍵や専用カードが出てきた場合、貸金庫の中身も確認する必要があります。
貸金庫の中に貴重品が入っていると、それも遺産分割の対象となるので、遺産分割の話し合いの際に含めなければいけない財産となるためです。
貸金庫の取扱いも銀行により異なるので、確認しながら進めるのが大事です。
※相続人相続人代表者が1人で貸金庫を開ける場合は、他の相続人の同意が必要です。
金融機関の調査は、相続手続きの中でも時間が掛かるうえ、書類の記入方法が厳格で、とても細かい手続きです。書類に不備があると何度も往復することになります。
また、金融機関毎に対応が異なるので、一軒一軒、問合せて確認しながら進める必要があります。
他にもやらなければならないことや、考えなくてはならないことが沢山ある相続手続きで、ここで躓き、心が折れてしまう方もいらっしゃいます。

『証券会社の口座を調べるには』
証券会社には通帳がありません。
各証券会社から定期的に郵送されてくる『取引状況のお知らせ』『特定口座の年間取引報告書』や『配当金のお知らせ』、『株主総会の通知』などから調査をおこないます。
「株は持っているようだけど、どこの証券会社に預けているのか分からない・・・」という場合。
そんな場合は、証券保管振替機構(通称:ほふり)というところへ「登録済加入者情報の開示請求」をすることが出来ます。ほふりの調査結果では、預け先の証券会社等がどこかが分かります。銘柄の明細などは開示対象ではないので、預け先が分かったら、次は預け先の証券会社へ連絡して、残高の調査をおこなうことになります。
【単元未満株式の預け先と配当金の受取方法】
証券会社の口座は閉鎖したのに、配当金が振り込まれているというケースがたまにあります。
株主名簿を管理している信託銀行等の「特別口座」に、単元未満株式いわゆる「端株」が残ってるというケースです。
受け取っていない配当金についても、この信託銀行等で手続きをすることになります。
<生命保険の死亡保険金は相続財産?>
死亡保険金は「受取人固有の財産」と言われ、受取人が指定されている死亡保険金であれば、遺産分割の対象にはなりません。
※亡くなった後に、家族が受け取った入院給付金は遺産分割協議が必要な相続財産に含まれます。解約返戻金も相続財産となるので、全てが遺産分割協議の対象とならないわけではありません。迷った場合には専門家へ相談しましょう。
<生命保険契約照会制度>
令和3年7月1日から「生命保険契約照会制度」が開始されました。亡くなった方がどこの生命保険会社と契約していたか分からないという場合に利用できる制度です。
Webから申し込みが可能です。調査結果が分かるまでにひと月以上かかるケースもあります。照会結果は契約のある生命保険会社が分かるのみです。契約の詳細については各生命保険会社へ照会して確認する必要があります。
《借入金があるかを調べるには》
口座のある金融機関からの借り入れは通帳から引き落としがされていることが多く、預金調査の際に一緒に調べられるので、そんなに難しくないと思います。クレジットカードの使用残高や、カード会社からの借入を調査するには、信用調査機関へ開示請求すれば借入残高を確認できます。
<用調査機関>
・JICC(日本信用情報機構)・・・消費者金融でのローンやクレジットの取引に関する情報
・CIC・・・クレジットカード会社等での契約に関する情報
・KSC(全国銀行個人信用情報センター)・・・全国の加盟銀行の借り入れに関する情報
※調べられる借入金の範囲は調査先によって異なります。
※個人間でのお金の貸し借りについては、「借用書」の有無を調べる必要があります。
『デジタル遺産』
パソコンやスマートフォンの中だけに情報がある
➢ ネット証券、ネット銀行
➢ 仮想通貨
➢ 金の積立
現代は通帳を持たないネットだけの取引の金勇機関が増えています。
パソコンは業者に持ち込めばパスワードのロック解除が出来ますが、スマートフォンは業者でもロック解除できません。
見落としてしまい、どこと取引していたのか分からないまま、財産から漏れてしまうというケースも実際に起こっています。
エンディングノートを利用するなどして、事前に分かるようにしておくことが大切です。
貴重な時間を煩わしい手続きに費やすのは精神的にも負担となります。専門家に依頼して、他のことに専念して頂くことが解決の近道です。
当事務所ではお忙しいご家族に代わり手続きをお手伝いしております。お困りの方はお気軽にご相談ください。

