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今どきの相続事情⑥ 相続人調査について
板橋の相続専門行政書士 中田です。
台風1号が近づいているようです。
4月に台風が日本に接近するのは珍しいのではないかなと思いますが、どうなのでしょう。
台風の進路にあたる地域の方はくれぐれもご注意ください。
さて、今どきの相続事情も6回目となりました。
近ごろ、ご相談でとても多いのが、いわゆる「第三順位」の相続です。
亡くなった方が独身、配偶者に先立たれ子供がいない、というケース。
お問合せも多いので「相続人の調査」にフォーカスを当ててお話します。
ご両親のどちらか一人でも健在であれば、その方が相続人になるので遺言書がなくてもさほど問題になりません。
※親御さんが認知症などで判断能力がないという場合は別の問題が発生しますが、あくまで「相続人の調査」を観点としています。
ご両親どちらも亡くなっていて、もちろん祖父母も亡くなっている。
ご兄弟が法定相続人となる「第三順位」の相続の場合の「相続人の調査」。
私がご依頼いただいた場合は、殆ど、必ずと言ってよいほど「法定相続情報一覧図」を作成します。
そうしないと兄弟が多い方は戸籍の数が多くなり過ぎてしまい、収拾がつかないからです。
銀行での相続手続きでは全ての相続人の繋がりを見るので、戸籍が50通になろうが100通であろうが提出する必要がありまます。
以前は窓口に戸籍一式を持参し、窓口の方が「内容を確認するのでお待ちください」と番号札を渡され、ただひたすら待っていました。
待ち時間が1時間なんてザラでした。
全部確認しきれない時は、さんざん待たされた挙句、「不備等があった場合には担当者よりご連絡いたします」と言われ帰されます。
法定相続情報一覧図では亡くなった時点での相続人が一覧で確認できるので手続きも随分楽になりました。
「戸籍がそんなに沢山!?少し大げさじゃない?」
と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
現在50代、60代の方、親御さんは何人兄弟ですか?
亡くなった方が独身(離婚・配偶者が先に亡くなっている方も含め)で、兄弟が多い場合
・亡くなった方は再婚で、前の結婚にお子さんはいらっしゃいませんか?
・ご兄弟は皆さん健在ですか?
・ご兄弟で再婚している方はいませんか?
・養子縁組で他の方の戸籍に移っている人はいませんか?
そのような戸籍を全て辿り集めていくのです。
ご兄弟が先に亡くなっている場合には、その子供(甥・姪)に相続権が移ります。
「代襲相続」(だいしゅうそうぞく)と呼ばれます。
時にはご兄弟のうちお一人亡くなり、その人の戸籍を集めている間に別のご兄弟がさらに亡くなってしまったということも起こったりします。
亡くなった方がご高齢だと兄弟もご高齢であることが多く、立て続けに相続が起こるということも珍しくありません。
その場合は代襲相続とは異なるので、後に亡くなった方の法定相続人(配偶者、子など)も相続人に加わることになります。
それを全て集めていくと50通以上になることもあります。
上の写真の方は代襲相続人含め14人の相続人となった方で戸籍が60通近くになりました。
相続人調査については以前からも必要な制度ではありますが、最近多い「相続人がご兄弟」のケース。
先日はご兄弟の中に親が認知した子がいるという方もいました。
相続人が頭を抱える状況です。
「戸籍は自分で集めます」
と頑張る方もいらっしゃいますが、専門家でも手を焼く作業です。
ご兄弟が多いケースでは漏れも出やすいです。
手続方法の問い合わせも多いです。
「相続人調査」のページをご参照ください。
「公正証書遺言」がある場合、銀行解約手続きや不動産の名義書換手続きには全ての戸籍は不要ですが、
遺言執行者は相続人に対して通知をする義務があるので、「相続人確定」のため戸籍を集める必要があります。
自宅で保管されていた「自筆証書遺言」の場合、銀行手続きでは相続人全員の同意が求められるケースもあります。
色々注意しなくてはいけないご兄弟が相続人となる方。
早期に終わらせるためにはご健在のうちに本人が準備しておくのが一番なのですが、ご本人が認知症、病気になってからなど困った事態が発生してからの相談が多いのが残念でなりません。
また遺言書が残されていないご兄弟の相続では、長期化することが予想されます。
どうしても話し合いが纏まらないという場合には、遺産分割調停なども考えなくてはなりません。
長くなりましたが、困っている方がとても多い「第三順位」の相続です。
弁護士など他の専門家と連携し、解決の糸口をご提案しています。
ぜひご相談ください。