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相続分の放棄と相続分の譲渡
いたばしの相続専門行政書士 中田です。
春一番が吹いたようです。
今日も外は風が強い。
体感的にはまだ寒いですが、花の芽が膨らんできたり着実に春が近づいてきているようです。
今日のテーマは
「相続分の放棄」と「相続分の譲渡」
「相続放棄」と「相続分の放棄」
似ているようですが実は違います。
「相続放棄」
家庭裁判所に対して「自分は今回の相続から自分は離脱します」という手続きが必要です。
結果、相続人から外れることになります。
相続人ではなくなるので、一切の手続きに関わらなくなります。
亡くなった方に負債があったとしても返済の義務はなくなります。
例えば一人っ子が相続放棄した場合、次の順位(親の代)の相続人に相続権が移ります。
※先に亡くなる代襲相続とは異なり、子供が放棄してもお孫さんに相続権が移ることはありません。
「相続分の放棄」
「自分の相続分を放棄します」ということです。
この場合、は相続人であることに変わりありません。
取り分はなくても手続きには協力する必要があります。
亡くなったの負債については負担義務が残ります。
通常では「相続分の放棄」という証明書を作ることはなく、
遺産分割協議書の中で「自分の取り分がない協議」に同意することが多いです。
「相続放棄」も「相続分の放棄」も他の相続人の取り分が多くなるということです。
ただし、遺産分割協議では相続人同士が同意すれば必ず法定相続分に従う必要はないので、柔軟に対応できます。
そして
「相続分の譲渡」
これは自分の相続分の全部又は一部を他の人に、その名の通り「譲る」ことです。
有償でも無償でも構いません。
これは相続人間に限らず、第三者に対しても譲ることができます。
第三者に譲った場合、他の相続人は一か月以内であればお金を支払って取り戻すことができます。
「相続分の譲渡」をした場合、
実務では、不動産登記と、銀行解約の手続きは異なります。
不動産登記では「譲渡証明書」+「遺産分割協議書」※ほかの人に相続分を譲った人を除いた協議
で手続きがおこなえるということです。
銀行の手続きでは相続人全員の同意を求められ、
相続分を譲渡したからと言って、全く無関係にはなれない場合が多いです。
不動産の手続きだけではなく、預金解約の手続きにも対応した遺産分割を行う必要があります。