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生前贈与について
板橋の相続専門行政書士 中田です。
突然ですが、想像してみてください。
一家のご主人が亡くなったとします。
そのご主人が残した財産を相続人である奥さんと子供で分けることになりました。
お父さんの財産がいくら残っているのか調べることになります。
単純にお父さんが亡くなった時点の残高で良いのでしょうか?
お子さんがお父さんから生前に贈与を受けていた場合どうなるでしょう?
「もう貰っちゃったものだから関係ないでしょ。使っちゃったし」
なんて声が聞こえてきそうですね。
そうは問屋がおろしません。
お父さんが亡くなる前の3年以内にされた贈与だった場合、
その贈与した金額はお父さんの財産に戻されます。
つまり、贈与はなかったことになるのです。
「え?だってちゃんと申告して贈与税支払ってるよ?」
こんな声も聞こえてきそうです。
この場合、贈与しなかったものとして相続税を計算し、
既に支払っている贈与税は相続税から差引かれます。
お父さんからしたら、せっかく生前贈与で相続財産を減らそうと思ったのに
贈与後3年以内に亡くなってしまった場合には、その贈与は無駄だったことになります。
注)あくまでその贈与が財産を減らす目的だった場合です。
贈与の時点で、お子さんがどうしてもお金が必要だったという事情もあるかと思うので、すべてが無駄だとは申しません。
たとえ贈与税が掛からない110万円以内であっても持ち戻しの対象となります。
生前贈与をお考えの方は早いうちにやるのがポイントですね!
さらに!
この3年以内の贈与で持ち戻しの対象となるのは「相続や遺贈により財産を取得した者」となっています。
相続人ではないお孫さんへの贈与は対象にはならないのですね。
20年以上連れ添った奥様に居住用の不動産を贈与したという場合には
3年以内であっても、相続財産に戻されない等の例外もあります。
もし、贈与があったのに「もらってないよ」って言って
後から税務署に調査されてバレちゃうと、お叱りを受けることになります。
お叱りだけならまだしも、追徴されます。
なんだか損した気分になりそうです。
きちんと開示して、すっきりしましょう。