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自分で書く「自筆証書遺言」は不備が多いという話
板橋の相続専門行政書士 中田です。
インフルエンザと胃腸の風邪が流行っているようです。
介護施設でもインフルエンザが蔓延し、面会を控えるように言われたとあちこちで耳にします。
私の知人のお母様が入所している施設でも一時面会禁止となり、会いに行くことが出来なかったそうです。
さて、今回は遺言書のお話し。
先日のブログで民法改正案についてお伝えしました。
●自筆証書遺言の書き方の要件が一部緩和されるということ
●同じく自筆証書遺言が法務局で保管できるようになるということ。
まだ改正はされていないので、現状のお話です。
自筆で書く遺言書だから気軽です。
お金も掛かりません。
いつでも気が変わったら書き直すことが出来ます。
それがメリットでもあります。
ただ、自分で好きなように書くから不備が多い、です。
全部が全部ということではありません。
きちんとアドバイスを受けて、正しい遺言書を作っている方もいらっしゃいます。
残念ながら、そうではないものもお見受けします。
これが残されているとご家族は大変です。
親が亡くなって「遺言書」と書かれている封筒を見つけました。
これはどうしたら良いですか?
というご相談、結構あります。
何通もお持ちの方もいます。
自筆で書いた遺言書は
家庭裁判所の「検認」と言う手続きを受けなくてはなりません。
検認について家庭裁判所のホームページにはこのように書かれています。
『相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,
遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。』
「検認」には有効・無効は関係ないのです。
遺言書を見つけたご家族は必要書類を家庭裁判所に提出し
更には家庭裁判所に出向いて、「検認」の手続きを受けなくてはなりません。
さて、検認が無事に終了し、中に書かれている内容を確認しました。
「これって大丈夫なのかな?」と不安になってご相談にくる方がいらっしゃいます。
ご家族が疑問を感じるくらいなので、
たいていが、法律で決められた要件を欠いているため、遺言書としては有効ではない。
さて、どうしたものか?
結局、相続人全員で話し合って財産の分け方を決めることになります。
いわゆる「遺産分割協議」をして、結果を「遺産分割協議書」に残すことになります。
相続人全員の名前と実印が必要です。
手間暇かけて「検認」を受けたのに、無いのと同じになってしまいます。
何で「遺産分割協議書」が必要になるのか?
不動産の名義書換をするため。
銀行口座をスムーズに解約するため、です。
もし、無効と言われてしまった自筆証書遺言書のの中に法定相続人以外の人の名前が入っていたら?
お孫さんとか、内縁の妻とか。
遺産分割協議には法定相続人以外の方は入れません。
悲しいですね。
悲しいだけならまだしも、揉めごとの原因にもなる恐れもあります。
せかっく作るなら正しい遺言書を書きましょう。